お別れの会の弔辞に関する解説。弔辞のマナーとサンプル台本を紹介します。

この記事では、お別れの会、社葬における弔辞(『お別れの言葉』、『思いでのエピソード』、と呼ぶこともあります)についての解説です。お別れの会の主催者が準備すべき事項と弔辞を頼まれた方が準備する事項それぞれにわけて説明しています。
目次
お別れの会における弔辞とは?
弔辞とは参列者のなかで故人と縁の深い方が代表して故人に贈る感謝やお別れのメッセージです。葬儀・告別式だけでなく、お別れの会においても弔辞は読まれます。お別れの会では一般的に3~4名の方が弔辞を読みます。弔辞という言葉が葬儀に近い言葉のため、少し柔らかくし、「お別れの言葉」、「思い出のスピーチ」と呼ぶこともあります。
弔辞を頼む人と話す順番について
お別れの会において、誰がどの順番で弔辞を読むかを決めるのは主催者の役割となります。
弔辞を読む人の人数は3‐4名が一般的ですが、お別れの会のスタイルやコンセプトによって、弔辞を読む方の人選、順番、内容が異なってきますので、以下で構成を紹介します。
社葬など儀礼重視のお別れの会の場合
社葬の場合、その会社の最も大切としている取引先の代表者から弔辞を読んでもらいます。取引先が様々で、弔辞を頼まないと他に角が立ってしまうようなケースの場合には、中立的な立場の懇意にしている政治家、銀行関係者にお話ししてもらうこともあります。なるべくは故人の仕事でのご様子、お人柄を偲べるような具体的なエピソードをお持ちの方に相談すると良いでしょう。
主要取引先やVIPの次に社内の代表者が続き、締めくくりとして主催を代表しての謝辞を兼ねた弔辞を社長に行っていただくのが一般的です。
弔辞を話す順番【 社葬の例 】
①最重要取引先の社長
②所属する組合、団体などの理事長
③社員代表(長年一緒に働いていた部下など)
④社長(弔辞、謝辞を兼ねた挨拶)
※その他政治家/取引銀行頭取(支店長)
有志による偲ぶ会などプライベート重視のお別れの会の場合
発起人の主催される有志の会では、仕事関係の繋がり、プライベートの繋がりなど、各グループを代表してお話をしていただくようにするのが一般的です。有志の会では3-4人のスピーチではなく、10名など多くの方に手短なスピーチを依頼することもあります。
締めくくりとして、親族が参列する場合には謝辞を兼ねて、家族との思い出をスピーチすることが一般的です。
弔辞を話す順番【有志の会の例】
①発起人代表
②仕事関係
③ご友人関係
④親族(謝辞)
弔辞を読む場所(マイク位置)について
一般的な社葬に近いお別れの会の弔辞では祭壇正面中央に立ち、遺影に向かって奉書を読み上げます。故人に向けて、話しかけるように、惜別の言葉を捧げます。
ご友人や有志の発起人が主催するような柔らかなお別れの会、偲ぶ会においては祭壇正面に立たず、上手(右手側)で、遺影と参列者両方に向かってお話しすることが一般的です。参列者に故人との思い出を紹介するような意味合いになっていきます。


弔辞を任された方が準備すること
弔辞用の紙を準備する
弔辞を読む方は失礼がないように、あらかじめ原稿を準備することが一般的です。会社の社葬などでは「奉書(ほうしょ)」と呼ばれる巻紙にスピーチの原稿を記します。読み終えた奉書は祭壇にお捧げし、ご遺族のもとにお渡しするものになりますので、文具店やデパート、もしくはオンラインショップなどでフォーマルなものを選びましょう。
毛筆がもっとも正式なものとなりますが、PCで作成した文章を印刷しても問題ありません。また、印刷会社に用紙選びや印刷の依頼をすることもできます。
弔辞の長さ・時間を決める
一般的に弔辞は5分程度に収めるのが一般的です。お話しされる方の人数にもよりますが、準備されているセレモニーのプログラムにあわせて主催者と相談し、時間管理をします。
5分間のゆったりとしたスピーチ速度を想定した場合、原稿の文字数は700~1000 字程度が目安となります。この後ご紹介する台本サンプルを参考に原稿をまとめていきましょう。
弔辞の内容について(弔辞のサンプル)
お世話になった先生へ
故人:大学の教授
読み手:教え子代表
個人的な思い出に偏りすぎず、教え子を代表した立場を踏まえて、授かった教え、思い出、人柄について触れ、感謝の気持ちを届けましょう。

○○先生のご霊前に、○○ゼミの卒業生を代表しまして
謹んでお別れの言葉を申し上げます
昨年、○○ゼミの同窓会のお知らせをさせていただきました折、奥様より○○先生が体調を崩されて、入院されたと伺いました。
先生からも直接メールで「すぐに退院するから心配はいらないよ」というご連絡をうけて安堵しておりました。その2週間後の突然の訃報となり残念でなりません。お見舞いに伺うこともかないませんでした。
○○ゼミは特別な場所でした。○○先生を慕う沢山のOB、OGの方がゼミ合宿に常に顔をだしてくださり、進路の面、研究のサポートをしてくださいました。○○先生が多くを語らずとも、そこにいてくださるだけで、自然と温かな輪ができ、我々に特別な居場所を作ってくださいました。本日も多くの○○ゼミの卒業生が先生とのお別れに集まっております
○○先生の偉大な学術的な功績は誰もが知るところですが、
毎年3本以上の論文を執筆し、何冊もの本の執筆や監修をされ、
このゼミを楽しそうに運営されていたというのは未だに驚きと
尊敬の念に堪えません。
○○ゼミ生の誰もが先生の研究に対する熱意を傍で感じ、そこに大きな刺激をくださいました。先生の背中をみて、自然とゼミ生自身が、自主的に奮起するという伝統が作られたのだと思います。○○ゼミのおかげで人生を通じて刺激をしあえるかけがえのない仲間との出会いが生まれました。言葉に尽くせぬほど感謝しております。
今後も、先生より学んだ「一生探求」というゼミ精神を胸に、羅針盤としながら力強く生きてまいることをお約束いたします。
○○先生、遥かなる高みから私たちを見守っていてください。
○○先生のご冥福を卒業生一同、心よリお祈り申し上げます。
○○ゼミ 第○期卒業生 ○○○○
取引先の社長へおくる言葉
故人: 社長
読み手: 取引先の社長
故人の仕事における情熱が感じられるエピソードをお話しします。結びでは感謝の気持ちと共に、亡き後も変わらない関係を続けることの決意を述べましょう。

故 ○○社長のご霊前に臨み、謹んで哀悼の言葉を申し上げます。
○○社長との出会いましたのは今から30年前にさかのぼります。
当時は私どもにとってははじめて○○業界に参入し、我が社のシステムをつかって、一緒員業務改善を図ることができないかを様々な企業にご提案し、奔走しているときでした。
業界での実績がなかったため、理解者を得ることができず、1年近く途方に暮れ、諦めかけていた中、○○社長との出会いにより、道が一気に開けました。
○○社長とお話をさせていただいた瞬間から「それは、面白い」、「こんな使い方はできないでしょうか」、「こんな課題があるから今すぐにでも助けてほしい」○○社長自身がずっと胸に抱えていた○○業界の抱える課題を堰を切ったようにお話しくださったのでした。
それは本当に運命的な出会いでした。
その出会い以来、30年、○○社長の思い描くビジネスを支えるシステム開発のお手伝いをさせて頂きました。
少しでもお客様に喜んでもらいたいという○○社長の強い情熱は、この30年間、出会った時に感じた熱量と一度も変わりませんでした。
先月、○○社長の入院先にお見舞いに行かせていただいた際も「来月には退院する。ベッドの中で考えていたんだが、次は○○のシステムを変えていかねばならないと思う」などお話になられていました。
病床にありながらも、絶えず業界の未来を想う、あの鋭い眼差しは健在で、これは一安心、またご一緒に仕事ができると信じておりました。
それがこのようなお別れの日を迎えることになり、本当に残念でなりません。
ご遺族の皆様のお悲しみには申し上げる言葉もありませんが、ただただお悔やみを申し上げる次第でございます。
今まで長い間、ビジネスパートナーという関係を超えて、よき友人として、忌憚のない議論でお付き合いをしていただけたこと、変わることのない情熱でたえず刺激をくださったこと、本当にありがとうございました。
○○社長、どうか安心してください。○○社長の遺志を継いだ立派な社員の皆様が、その夢のバトンを繋いで走って行かれます。我々も今まで以上に力を尽くし、お力添えすることを約束いたします。
どうぞ安らかにお眠りになって、天上よりお見守りください。
株式会社○○ 代表取締役社長 ○○
創業者である会長へ送る言葉
故人:会社の創業者
読み手=後継者である社長
主催者、会社を代表して参列者へのお礼の言葉、故人に対しては、遺志を継いで進んでいく決意の言葉を届けます。弔辞と謝辞をあわせたご挨拶になります。

株式会社○○ 代表取締役の○○と申します 主催者を代表しお別れの委員長として一言ご挨拶を申し上げます。
本日は皆様ご多忙の中 株式会社○○のお別れの会にご参列賜りまして誠にありがとうございます。
また本会に寄せて多数の弔電、供花などのご厚志や、先ほどは心のこもったご弔辞を賜り、遺族ならびに社員を代表いたしまして重ねて御礼申し上げます。
○○会長は○○年、東京の新橋で株式会社○○を創業。
以来、○○業界に特化したシステム開発会社として信頼を獲得し、5年後は業界NO.1のシェアを獲得。歩みを止めることなく、アジア、ヨーロッパなど海外展開にも積極的に挑みました。
自分の信じる方向へ突き進む、積極果敢な営業姿勢により、今日まで続く道は切り拓かれてきました。
もちろん故人1人の業績でなしえたことではなく、本日参列いただいている皆様のお力添えがあったからこそであり、故人になり代わりまして、深く感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
我々は「創業者」という大きな存在、看板を失った損失は誠に大きいと言わざるを得ません。
創業者がまかれた種が芽吹き、今は育った木々が林になろうという段階ですが、遺志を継ぐ私共がさらなる発展へと尽力し、大きな森へと育てていくことをお約束いたします。
○○社長、どうか安らかにお眠りいただき、そして天上から見守っていてください。
新体制へと代わり、至らぬことがあるかもしれませんが、精一杯務めてまいりますので、今後とも皆様には変わらぬご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。また今後とも存命中と同様にご遺族へのご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
本日は誠にご参列をいただきまして誠にありがとうございました。
謹んでお礼を申し上げ、結びとさせて頂きます。
株式会社○○ 代表取締役 ○○
略歴紹介を兼ねた主催者代表から参列者への挨拶
故人:前代表取締役
読み手:後継者である社長
外部からの弔辞はいただかずに、主催者代表からのご挨拶だけの場合があります。その場合には開式のタイミングで、主催者、会社を代表して参列者へお礼の言葉をお伝えし、故人の功績の紹介を交えた内容でご挨拶を行います。

このたびお別れの会委員長を務めさせていただいております
株式会社○○ 代表取締役社長の○○○○と申します。
主催者を代表しまして一言ご挨拶申し上げます。
本日は、故○○○○ 前代表取締役社長を送るお別れの会に、
皆様にはご多用にもかかわらず 多数ご参列をたまわり 誠に有難うございます。深く感謝申し上げる次第でございます。
開会にあたり私より故人の略歴をご紹介させていただきます。
株式会社○○は昭和〇年に故人の父である故○○によって設立されました。
故人は大学卒業後に入社し、○○工場に配属され、○○の製造に従事してまいりました。昭和○○年代の後半に、○○への出店計画を契機に営業部門に移り、
商品知識を生かした接客接遇で販売に貢献し、○○店を成功に導きました。
その後も、続く出店計画、店舗立ち上げの際には大きく貢献し、
現在の株式会社○○の礎を築きました。
平成〇年には初代代表取締役社長である○○が体調を崩し、
それ以降は、○○が代表取締役社長に就任いたしました。
昨年に病気療養で退任するまで、〇年間にわたって代表取締役社長としての
重責を務め上げました
また、仕事のかたわら、クラシック音楽の鑑賞、ワインをこよなく愛し、
乗馬など多彩な趣味も持ち、趣味を通じた多くの友人にも恵まれました。
今日まで故人が実りある人生を歩み、また現在の株式会社○○があるのは、ご参列の皆様をはじめ、多くの方々のお力添えがあってこそであり、この場をお借りし、故人になり代わりまして、深く感謝申し上げる次第でございます。
昨今の厳しい経済情勢の中で○○の逝去は、当社にとりましても大きな痛手でありますが、社員一同、故人の遺徳をそこなうことなく、全力をあげて社業の発展に尽力する所存でございますので、ご列席の皆様にも変わらぬご指導とご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
また今後とも、故人の存命中と同様、ご遺族へのご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
あらためまして本日は誠にご参列を賜りましたこと、改めて御礼申し上げます。
ご遺族から参列者への謝辞
故人:夫
読み手:妻
参列者より心のこもった弔辞をいただいた後、ご親族がご挨拶するスピーチでは、参列者への感謝の言葉とご家族とのエピソードをお話しします。弔辞よりも少し短めに3分程度にまとめられることを推奨しております。

○○家、親族を代表しまして一言お礼の言葉を述べさせていただきます。
本日は夫、○○のためにご参列を賜り、また心のこもったご弔辞まで誠にありがとうございました。
父はここ2年は入院生活を送っておりましたが、闘病中には沢山の社員の皆様、ご友人の皆様にお見舞をいただきまして本当に幸せだったと存じます。
闘病で辛い時期もありましたが、笑顔を忘れず、感謝の気持ちをもって、笑顔で夫が過ごせましたのは皆様のおかげだと思っております。
最後の2か月は私共家族とゆっくり一緒に自宅で過ごすことができました。
「いい人生だった」、「ありがとう」と手を握り、最後の時間を過ごすことができました。
人生をかけて仕事に情熱を燃やすことができ、家族に見守られながら生涯をとじられたことは本当に幸せだったと存じます。
長い間、お付き合い、お支えいただきまして誠にありがとうございます。
人と会い、お酒を飲み語らいあうときが一番幸せな表情をしていた夫ですから、本日はこのような会を開いていただき、さぞ喜んでいることと存じます。
沢山のご準備をしていただいた株式会社○○の皆さんありがとうございました。
どうか皆様もお忙しい日常を過ごされているとは存じますが、お体は大切にしていただきお過ごしいただければ幸いです。
皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
また今後故人亡き後も、変わらぬお付きあいをさせていただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
妻 ○○
まとめ
ご紹介したように、「弔辞」は儀礼を重んじた社葬のようなお別れの会では遺影正面に立ち、故人に語り掛けますし、有志による柔らかなお別れの会では「弔辞」というよりも「思い出のエピソード」を披露することが多く、立ち位置も変わります。セレモニーの雰囲気が変わりますので、あらかじめどちらのスタイルのスピーチを頂戴するのかを主催は決めましょう。
そのうえで、スピーチのご依頼を行い、お話しいただける方とも、イメージを共有したうえでスピーチ内容を検討してもらうようにしましょう。
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